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松山地方裁判所 昭和53年(わ)130号 判決 1980年2月05日

本籍

愛媛県北条市鹿峰二三二番地

住居

同県松山市来住町五六九番地三

貸金業

日野正

大正九年六月二八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官辻本三代太郎出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、松山市北持田町九一番地において、貸金業及び骨とう品販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れる目的をもつて、貸倒損失を過大に計上し簿外預金を設定するなどの不正の方法により、その所得を秘匿したうえ、

第一  被告人の昭和四九年度における実際の所得金額は四、一四〇万二八六円であり、これに対する所得税額は一、八九五万六、五〇〇円であるのに、同五〇年三月一四日、松山市本町一丁目三番四号所在の所轄松山税務署において、同税務署長に対し、同四九年度における所得金額は二八〇万八、〇〇〇円であり、これに対する所得税額は二八万八、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて右正規の所得税額と右申告税額との差額一、八六六万七、九〇〇円をほ脱し、

第二  被告人の同五〇年度における実際の所得金額は三、九〇二万七九五円であり、これに対する所得税額は一、六九一万八、九〇〇円であるのに、同五一年三月一三日、前記松山税務署において、同税務署長に対し、同五〇年度における所得金額は三一七万六、〇〇〇円であり、これに対する所得税額は三二万四、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて右正規の所得税額と右申告税額との差額一、六五九万四、二〇〇円をほ脱したものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官(三通)及び大蔵事務官(六通、但しいずれも質問てん末書と題するもの、以下同じ)に対する各供述調書

一  日野早苗の検察官(二通)及び大蔵事務官(五通)に対する各供述調書

一  原田義男の検察官及び大蔵事務官(三通)に対する各供述調書

一  大西明美の検察官及び大蔵事務官(二通)に対する各供述調書

一  日野観三郎の検察官及び大蔵事務官(二通)に対する各供述調書

一  重松栄の検察官及び大蔵事務官(二通)に対する各供述調書

一  鎌倉坂衛の検察官に対する供述調書

一  渡部平太、酒井繁治、菅野仁美、大西栄次郎、中島忠、吉岡ヨシ子、松原栄、細川敏夫、山本省三の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  水野勝幸(二通)、足立文雄、河内末一、高岡慶市、大森瑞枝、山岡千賀子、福田義男(昭和五二年四月一五日付)、大岩康美、山田君弘、藤岡フミコ、鶴岡醍学(同年八月二四日付)、岩城忠雄(同月二四日付)、杉野光秀、白石照夫(同月二三日付)、大東ミヨ子(同月二六日付)、松本孝、本宮忠志、末廣秀雄、青木節雄、長井英雄、河合シズ子、続田信子、宮崎トシエ、和田光男、二神廣知(二通)、水口守、増田惇、日野勝利の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書及び査察官調査書の訂正についてと題する各書面

一  国税査察官作成の査察官報告書と題する書面九通

一  被告人及び日野早苗作成のいずれも上申書と題する各書面

一  松山地方裁判所長植村秀三作成の民事第一審訴訟記録謄本の送付についてと題する書面

一  藤野駿平作成の証明書及び上申書(二通)と題する各書面

一  桑原信義作成の証明書及び上申書と題する各書面

一  渡部卓作成の証明書(同年四月一三日付二通)及び上申書(二通)と題する各書面

一  菅春見、仲田和夫作成の証明書と題する各書面

一  日野早苗作成の証明書と題する書面(二通)

一  登記簿謄本二通(同年五月二三日付、同年四月二八日付-但し、証拠請求番号79の分)

一  高市次郎、仙波和夫作成の報酬金額及び業務内容の回答と題する各書面

一  松山市役所主税課長丸山研三作成の納付状況照会に対する回答と題する書面

一  松山電話局長原淳作成の電話料金等の照会についてと題する書面

一  高岡慶市、小泉順次郎、古川征之助、三好規泰、森岡登、定井朗、玉井晃作成の取引内容照会に対する回答と題する各書面

一  松山市長中村時雄作成の固定資産税課税内容の回答についてと題する書面

一  新原芳人、永島光男作成の保険契約の内容及び払込保険料金額照会に対する回答と題する各書面

一  押収してある領収証等五通(昭和五三年押第五七号の4)、封筒入り領収証等四通(同押号の5)、領収証八通(同押号の6)、封筒入り約束手形控三枚(同押号の7)、当座小切手帳一冊(同押号の8)、約束手形帳一冊(同押号の9)、頼母子帳二〇通(同押号の15、16)

判示第一の事実について

一  大東ミヨ子の検察官及び大蔵事務官(昭和五二年一一月二八日付)に対する各供述調書

一  白石照夫の検察官及び大蔵事務官(同年九月二六日付、同年一一月二九日付)に対する各供述調書

一  鶴岡醍学の検察官及び大蔵事務官(同年一二月一日付)に対する各供述調書

一  元栄繁の検察官(事務取扱検察事務官)に対する供述調書

一  松本直一、土居須磨男の大蔵事務官に対する各供述調書

一  登記簿謄本五通(同年五月四日付、但し、証拠請求番号96、104ないし106、111の分)

一  大蔵事務官作成の現金有価証券等確認書と題する書面

一  被告人作成の証明書と題する書面

一  押収してある四九年分の所得税の確定申告書一通(前同押号の1)、領収証一通(同押号の3)、封筒入り債務弁済契約公正証書二通(同押号の10、12)、領収証(帳)(同押号の11)

判示第二の事実について

一  薦田吉正の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  福田義男の検察官及び大蔵事務官(昭和五二年八月二三日付、同年一二月一日付)に対する各供述調書

一  本宮忠志、福田鶴市、青木節雄の検察官に対する各供述調書

一  武智進、岩城忠雄(同年八月二五日付、同年九月三〇日付、同年一一月三〇日付)、足立文雄の大蔵事務官に対する各供述調書

一  渡部卓作成の証明書と題する書面(同年四月二五日付二通)

一  登記簿謄本六通(同年一一月三〇日付二通、同年四月二八日付二通-但し、証拠請求番号138、139の分、同月三〇日付、同年五月四日付二通-但し、同174、175の分)

一  毛利嘉二、中西久雄作成の取引内容照会に対する回答と題する各書面

一  押収してある五〇年分の所得税の確定申告書一通(前同押号の2)、封筒入り頼母子帳一通(同押号の13)、封筒入り御通知一通(同押号の14)

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二の各所為はいずれも所得税法二三八条一項、一二〇条一項三号に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一〇月及び罰金八〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 郷俊介)

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